KDDIはなぜmenuに50億円を賭けたのか|配達員ですら"誰も使っていない"と思っていた
この記事で学べること
会員基盤があるのに、なぜ使われないのか。
新規事業を任されている人なら、一度は突き当たる壁かもしれない。
あなたの新規事業にも、似たような経験はないだろうか。
フードデリバリー「menu」の5年間は、その壁への1つの答え合わせだった。
✓ 会員基盤3,200万人超と資本を注いでも"使う必然性"は作れなかった、KDDIの5年間の教訓
✓ 市場規模8,240億円でも個社が沈む、「絶対額」と「伸び率」を分けて見る視点
✓ 事業をたたむ前にあえて完全子会社化する、大企業の"後始末"の設計思想
✓ 異業種プラットフォーマーの撤退は、menu1社の特殊事情ではなく繰り返されてきた構造だった
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なぜKDDIは「食」に50億円を賭けたのか|コロナ特需とau経済圏、2つの狙いが最初から並んでいた
2018年10月、menu株式会社が設立された。
当初の社名は「TAPGO」。
2019年10月に「menu」へ商号を変更している。
2019年4月にテイクアウトサービスを開始。
2020年4月、フードデリバリー事業に参入した。
コロナ禍の特需に乗り、わずか1年で47都道府県に展開。
加盟店舗は6万店舗規模まで急拡大した。
この勢いに目をつけたのがKDDIだった。
2021年6月1日、menuに50億円を出資。
株式20%を取得し、持分法適用関連会社(議決権20%以上を持つが子会社ではない会社)にした。
当時のKDDIの狙いは2つあった。
・コロナ特需で急成長するデリバリー市場を「ニューノーマル時代に不可欠なリアル接点」と見なしたこと
・au PAY会員3,200万人超、auスマートパス会員1,500万人超という自社の経済圏に、menuを組み込むこと
どちらも後付けの理由ではなく、2021年6月の提携発表時点から並んで語られていた。
当時の急成長環境を踏まえれば、この判断自体は筋が通っていた。
KDDIの2026年3月期、連結純利益は7,071億円。
50億円の出資は、その約0.7%に過ぎない。
それでも、この小さな投資に対する経営判断は、5年後、最後までシビアに下されることになる。
